この記事は、下のようなバイラルマーケティングに関する疑問を持つ方におすすめです。
こんな方におすすめ
- 「バイラルマーケティングの意味を知りたい!」
- 「バイラルマーケティングの事例をいくつか知りたい!」
マーケティングを専門に研究するものの立場から、「バイラルマーケティングの内容」「バスマーケティングの事例」をわかりやすく説明します。
5分間で、バイラルマーケティングについては、網羅することができるはずです。
目次
バイラルマーケティングとは?
バイラルマーケティングの意味
バイラルマーケティング(英語で書くとviral marketing)とは、「インターネット環境の中で、口コミを人から人へ拡散させることを意図したコンテンツを用いたコミュニケーション(プロモーション)」のことです。バイラルすなわち、ウイルス感染のように、情報が人から人へ伝播していく様子が語源となっています。
インターネットをはじめとした情報技術の発展によって、身近な知人・家族の中だけでなく、不特定多数の人による口コミがものすごい速さで広まるようになったことで、活用され始めた手法です。
思わず消費者がSNSで拡散したくなるような「ウイルス源」となるコンテンツを企業が発信して、そのコンテンツが人から人へ数珠つなぎで指数関数的に広まり、企業から消費者への有効なコミュニケーションとなるというわけです。
2種類のバイラルマーケティングの手法
バイラルマーケティングには、2つの種類があると言われています。つまり、
1次的バイラル=インセンティブ(例えば、友達に紹介すると〇〇がもらえる!という紹介キャンペーンなど)を用いずにおこなうもの
2次的バイラル=なにかしらのインセンティブを用いておこなうもの
という2種類です。
一概にどちらの手法の方が優れているということはできません。
1次的バイラルは、インセンティブを用いないため、2次的バイラルに比べると、拡散させるのが大変でしょう。しかし、消費者は、心からコンテンツを「面白い」「有用だ」と思って拡散しているために、コンテンツに関わる企業やその製品に対するイメージを向上させる効果は見込めます。
対して、2次的バイラルは、インセンティブを用いるため、拡散させるのは容易いです。しかし、多くの研究が示唆するように、インセンティブによって動機づけられる行動は、長続きせず消極的である可能性があります。皆さんも「お金がもらえるから仕方なくやっている」という経験はあるはずです。よって、いくら世の中に、コンテンツが広まったとしても、企業やその製品へのポジティブなイメージにつながるとは限らないのです。
両者の手法のメリットデメリットを考慮したうえで、デメリットを解消できるような工夫をして、コンテンツを作成することが大事だと言えるでしょう。
バイラルマーケティングの事例
事例その①
バイラルマーケティングの有名な成功例として、無料Eメールサービスの「Hotmail」の用いた手法が挙げられます。
「Hotmail」は、自社サービスのユーザーが、他の人々に送信するEメールの最後に、自社のサイトURLと『無料のEメールサービスをどうぞ』というメッセージが付くようにして、自社の顧客がメールを送信するたびに、自社のプロモーションをしてもらえるようにしました。
「Hotmail」からすると、自社顧客の送信するメールが、拡散する「ウイルス源」となるコンテンツであるわけです。
この手法を用いて、「Hotmail」は、ライバル企業よりも圧倒的に低コストで、即座に、顧客を獲得することができました。
事例その②
韓国の「YG Entertainment」の事例も非常に有名です。
「YG Entertainment」は、PSYのカンナムスタイルという曲とYoutubeのMVをバイラルコンテンツとして、世界中に拡散させることに成功しました。
カンナムスタイルは、キャッチ―で明るい曲調・目を引くような鮮やかな色彩・真似したくなるようなダンスを盛り込んだコンテンツであり、自然に拡散されていくような要素を含んでいます。さらに、「YG Entertainment」は、このコンテンツを拡散するにあたり、事前に準備していたアメリカの有名レーベルやアーティストとの契約を発表するなどコンテンツが世界中で拡散するのを促進するようなアプローチもおこなっていました。
コンテンツ自体のクオリティだけでなく、コンテンツが拡散するための予備的な施策まで入念におこなったことが「YG Entertainment」の世界的成功の秘訣だといえるでしょう。
事例その③
最後に「Artisan Entertainment」の事例をご紹介します。
彼らは、ブレア・ウィッチ・プロジェクトというホラー映画を、超低予算にも関わらず、世界的に大ヒットさせました。この映画は、最も成功したインディペンデンス・フィルム(自主制作映画)と言われています。ブレア・ウィッチ・プロジェクトは、モキュメンタリ―(偽のドキュメンタリー映画)で、ブレアの魔女という怪異を追った若者の実録映画という設定になっています。
「Artisan Entertainment」は、この映画のプロモーションにあたって、メディアミックスという手法を活用しました。その名の通り、複数のメディアで宣伝を行うわけですが、工夫の仕方が非常にうまいです。
まず、映画の公開に先駆けて、三人の若者(実際には三人とも映画の出演者ですが、映画公開前には、この事実は明かされていませんでした)がブレアの魔女に関する映画の制作途中に失踪したということを知らせるウェブサイトが開設されます。人々は、実際に起きた不気味な失踪事件として、このウェブサイトに注目します。
次に、映画公開3週間前に、失踪事件と魔女伝説に関するドキュメンタリー番組を放送。そして、「失踪した若者の残したテープを見ることができる」という文句で映画館に人々を誘導したのです。
このようなウェブサイト→テレビ番組→映画というメディアミックスが、「Artisan Entertainment」によるバイラルコンテンツとなり、世界中で大ヒットしたのです。
バイラルマーケティングの注意点
これまでご紹介した事例のように、バイラルマーケティングは、「低コストなのに大きな効果を生む」可能性を秘めています。
しかし、「具体的にどういったコンテンツがバイラルになる可能性が高いのかはっきりとしていない」「企業のコントロールできる範囲を超えてコンテンツが拡散されてしまう可能性がある」といった問題がのこされています。
上記3つの事例を見ても、手法が三者三様である印象を受けますね。。
こうした問題点が解決されるようになると、バイラルマーケティングは、より企業のコミュニケーション戦略として、重宝されるようになるでしょう。